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SONY α7ⅡのEレンズマウント

僕がSONYのα7/α7Ⅱを使い始めたのは、コレクションしていた古のMINOLTA製マニュアルフォーカス用レンズをデジタルカメラで蘇らせるのにピッタリな規格のカメラだったからです。
α7シリーズに搭載されているレンズマウント、通称、EマウントはSONYの新しいレンズマウントシステムとして、NEX-5/NEX-3の発売と共に登場しました。
それは発表当初より、35mm版フルサイズにも適合するマウントであるとアナウンスされていました。
当時、既にデジタル一眼レフカメラを使っていましたが、2本のズームレンズで広角~望遠までを概ねカバーしていたものの、MINOLTAのマニュアルフォーカス用の各種レンズの描写は捨て難く、その後もフィルム用一眼レフと併用していたので、ちょっとカメラを持ち出すのにも、カメラ数台と、レンズ数本の組み合わせとせざるを得ず、結構な機材となってしまっていました。おまけにフィルムだと現像代も嵩んでしまうので、女房からは白い目で見られていました。

2013年11月に待望の35mm版フルサイズのミラーレスカメラ α7/α7Rの登場となるのですが、発売当初は専用の交換レンズがたった2本しかなく、交換レンズが無いカメラだと、各所から随分と酷評されました。
しかし、世界中の35mm版(135版)カメラ用レンズを使うのに最適なカメラだし、これまで世界中で発売された数多くの35mm版レンズが、マウントアダプターを介する事で本来のイメージサイズのまま、デジタルカメラ用レンズとして使用出来る 初の夢のカメラなのにと、その評価には非常に強い不満を感じていました。
と、言うのもEマウントは35mm版フルサイズのセンサーを搭載しているにも関わらず、レンズマウント面~センサー面までの距離(これをフランジバックといいます)が極端に短く、マウントアダプターを介する事で、簡単に数多くのレンズを使用することが出来るのです。
1年後にはそのセンサーが手振れ補正機能付きのMk.Ⅱシリーズが発売され、その魅力が更に増しました。
レンズの焦点距離を入力さえすれば、例えどんなに旧式のレンズであっても、それに見合った手振れ補正機能が得られるのですから…
その後、Eマウント用レンズも随分と拡充されましたし、同じSONYの従来のAマウントレンズもアダプターを介して、ほぼ機能低下無しに使えます。
更にサードパーティーからも続々と各種のマウントアダプターが発売され、オールドレンズをデジタルカメラ化する為の貴重な母艦カメラとしての人気を不動のものにしつつあります。
中にはライカMマウントレンズをAF化するマウントアダプターなんてのも発売されて、工夫次第では、他社のレンズアダプターをも組み合わせれば、総重量500gまでという制限はありますが、ライカレンズのみならず、多くのレンズのAF化も夢ではないといった様相まで呈してきています。

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Eマウント用マウントアダプター(左はminolta MDマウント用、右はエキザクタマウント用)

さて、本題に戻りましょう。
レンズ交換式のカメラですが、各社各様のレンズマウントを使用しています。

元々ドイツのエルンスト・ライツ社がライカを発表して、こうした35mm版レンズ交換式カメラに先鞭をつけたのですが、その後、多くのカメラメーカーがこれに追従し、ライカの採用したスクリュー式(ネジ式)レンズマウント(ライカマウント=通称Lマウント)を採用しました。
カメラ用のみならず、引き伸ばし機にもこのマウントは引き継がれ、その後、多くのカメラメーカー、レンズメーカーがこのLマウントのスクリューマウント用のレンズを製造しました。
ですから当時のカメラだと、カメラメーカーが違っても、レンズは共用できるものが多くありました。
(ライバルメーカーのカール・ツアイスのコンタックスとニコンSシリーズは除く)

ところが、戦後、エルンスト・ライツ社が、新型カメラ ライカM3を発表し、バヨネット式(爪式)マウントを採用した事から話がややこしくなっていきます。
ライカM型は距離計連動、パララックス自動調整、巻き上げレバーによるシャッターチャージなどが採用された、当時の技術の粋を極めた画期的なカメラで、カメラシステムのみならず、レンズマウントも新しくなりました。
最もこの新しいレンズマウント(通称Mマウント)はアダプターを介して従来のLマウントのレンズも使用可能になっていました。

ライカM3の与えたインパクトに、それまでこのドイツ製のカメラに追従し、技術力を着実に着けつつあった日本のメーカーはすっかり置いてけぼりを喰う事になります。
その為、多くのメーカーがこの分野では勝てないと判断し、雪崩をうって距離計連動式カメラから撤退し、一眼レフカメラに未来を見出そうとします。
ところが、一眼レフカメラには大きな障害が幾つもありました。

レンズに関して言えば一番大きな問題は、レンズマウント面とフィルムの間には大きなミラーが入ってしまうのです。
その為、従来のレンジファインダー式カメラに比べ、フランジバックの距離が大きくなってしまいます。
これはレンズの設計にも大きな問題が生じました。
望遠レンズでは特に問題は無いのですが、広角レンズでは大きなミラーボックスをかわす設計をしないといけないのです。
それまで、レンジファインダーカメラの場合、前後対称なレンズ構成の広角レンズの設計が普通だったのですが、一眼レフの登場により、レンズ後面よりも焦点距離の小さなレトロフォーカスタイプの広角レンズが主流になっていきます。
ただ、こうしたレトロフォーカスタイプのレンズの描写は、それまでの前後対称タイプのレンズとは異なる為、その描写を嫌がり、距離計連動式カメラにこだわるカメラマンも多くいました。
また、初期の標準レンズにもこの影響は出ており、従来50mmが標準レンズだったのですが、焦点距離50mmでは設計が難しく、当初は55mmとか58mmといった50mmよりも焦点距離の長いレンズが標準レンズとされてラインナップされていました。
その後、コンピューターの進歩による設計自由度の拡大、レンズ用硝材の進歩、レンズ加工技術の向上により、こうした問題はクリアされて現在に到ります。

主なレンズ交換式カメラのフランジバック(レンズマウント面~センサー/フィルム面の距離)

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カメラのセンサー指標Φマーク。(フィルムカメラの場合はフィルム面を示します)
ここからマウントの前面までの距離をフランジバックと言います。


レンジファインダー(距離計連動式カメラ)用
ライカL 28.8mm スクリュー式 右回し
ライカM 27.8mm バヨネット式 右回し
コンタックス 32mm バヨネット式 左回し
ニコンS 32mm バヨネット式 左回し

35mm判一眼レフ用
オリンパスOM 46mm バヨネット式
キヤノンEF 44mm バヨネット式 右回し
キヤノンFD 42mm スピゴット式 右回し
ヤシカ/コンタックス 45.5mm バヨネット式 
コンタックスN 48mm
ニコンF 46.5mm バヨネット式 左回し
ミノルタMD 43.5mm バヨネット式 右回し
ミノルタα(ソニーA) 44.5mm バヨネット式 右回し
M42 45.5mm スクリュー式 右回し
ペンタックスK 45.5mm バヨネット式 右回し
エキザクタ 44.7mm バヨネット式
ライカR 47mm バヨネット式 右回し
コニカAR 40.5mm バヨネット式
アルパ 37.8mm バヨネット式

ミラーレス用
ソニーE 18mm (35mm版フルサイズ/APS-C版) バヨネット式 右回し
富士フイルムX 17.7mm (APS-C版)
Nikon 1 17mm 
マイクロフォーサーズ 20mm  (4/3版)

こうしてみるとレンジファインダー用レンズマウントに比べ、一眼レフ用レンズマウントの場合、ミラーボックスの分だけフランジバックが延びている事が判ります。
その分、レンズ設計の自由度が低くなっている事も容易に想像ができます。
またミラーレスカメラのフランジバックが概ね20mm以下であり、その為、レンジファインダー用カメラを含め、数多くのカメラ用レンズのマウント母艦として使用出来る事が判ります。

ただ、先にも説明した通り、APS-C版や、4/3版だとレンズの性能をフル活用する事は難しい為、現在は35mm版フルサイズに関しては、SONY α7シリーズの独壇場になっている訳です。

続く

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【2016/12/31 18:13】 | kumaのカメラ講座
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カメラレンズの手入れ

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レンズの各部名称


カメラを扱う際についついやってしまって後悔する事のひとつ…

レンズの掃除

これ下手にやると簡単にレンズをダメにしてしまうんです。
でも、塵や埃は写りに悪影響を与えてしまう…
結構悩ましい問題です。
カメラに取り付けられているレンズは光学ガラスで作られています。
ガラス窓や瓶などに使われている工業用ガラスに比べ、光学レンズは柔らかく、傷つきやすいものなのです。
その為、乱暴に扱うと、簡単に傷が付いてしまいます。
現在のレンズにはコーティングという表面コートを施してはいますが、基本的に光学性能を良好にする為のもので、レンズの表面保護用ではないと考えた方が無難です。

また、レンズは保管状態が悪いとカビが発生してしまいます。
梅雨時期などには湿度が上がり、保管条件が悪いとレンズにカビが生えてしまいます。
こうした事態を避ける為、理想的なカメラの保管の為には、カメラ・レンズを防湿庫に入れ、防カビ剤を入れておく必要があります。
最も、なかなかそこまで手間はかけられないですし、費用もかかってしまいますし…

簡単な方法としては密閉性の高い容器にカメラ・レンズを入れ、防湿剤・防カビ剤を入れておくという方法もあります。

生えてしまったカビは?
基本的に救えないと考えてください。

ですからカビを生やさない様、日ごろから心がける必要があります。

さて、レンズの掃除。
先にも書いた様に、光学レンズは傷つき易い為、掃除は最小限にする方が無難です。
可能な限りブロワーで塵や埃を吹き飛ばすだけにして、レンズ面には触らない様気をつけましょう。

最近はめがね用のマイクロファイバークロスなんてのもあるので、どうしてもブロワーで吹いても取れない時には、これで拭き取っても良いのですが、気をつけなければ表面に付いている微細な塵、埃でかえってレンズを傷つけてしまう可能性もあります。

まず最初にブロワーで大きな塵、埃は吹き飛ばしてしまいます。
次に、レンズ専用のクリーナー類(無ければマイクロファイバークロスでも可)を使って、あくまで、優しく、柔らかく掃除します。
しかし、これが結構大変で、しくじると高価なレンズに傷をつけてしまいかねません。

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レンズブロワー

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マイクロファイバークロス


そこで考え方を変え、掃除の機会そのものを減らしてしまう事が、かなり有効な対策になります。

多くのカメラレンズの前面にはフィルター用のネジが切ってありますが、ここにプロテクトフィルターを取り付けておけば、レンズ表面を直接触ってしまって、手や指の脂がついたり、塵、埃がつくのを防ぐ事が出来ます。
レンズフィルターならば高くてもせいぜい数千円で済みますが、カメラレンズだとその10倍以上はしますかね。

プロテクトフィルターも、撥水性を高めたものや、傷つきにくいハードコーティングのものなど色々ありますが、ご自分の予算の許す範囲で選べば大丈夫です。
最悪傷ついても交換すれば済みますから…

最近でこそ、こうしたプロテクター専用フィルターがあるので、これを利用すれば良いのですが、フィルム時代には、紫外線カット用のUVフィルター(モノクロフィルム用)や、スカイライトフィルター(カラーフィルム用)がプロテクト用フィルターに使用されていました。
現在のデジタルカメラだとあらかじめUVカット、カラーバランスもカメラで行えるので必要無い訳なんですけども…
ですから、今ではすっかり姿を消してしまいました。

DSC04109.jpg
レンズプロテクトフィルターの例
左からレンズプロテクトフィルター、スカイライトフィルター、UVフィルター
スカイライトフィルターにはわずかに色付きがあります。


さて、レンズ前面は取替可能なフィルターで守るとしても、塵や埃から完全に守りきれる訳ではありません。
やはりきちんと清掃する場合が出てきます。

レンズの清掃に当たっては幾つかルールがあります。

鏡筒(レンズを支える筒の部分)はカメラ同様にシリコンクロスやセーム皮で拭いてやれば良いのですが、ことレンズ面は異なります。
鏡筒のしつこい汚れや、ゴム部のブルーム(白っぽいワックス)などは、アルコールを染ませた脱脂綿やティッシュペーパーなどで拭き取ってもまず大丈夫です。
(カメラ・レンズの説明書に従ってください)

でも、レンズ表面(前も、後も)は必ずレンズ専用のクリーナーもしくはマイクロファイバークロスで清掃する様にしてください。
鏡筒だけではなく、カメラの清掃にも使えるシリコンクロスやセーム皮には若干の油分が含まれているので、レンズの写りを悪くしてします。

ティッシュペーパーはレンズ面には絶対厳禁。
レンズクリーナーにはペーパータイプのものもありますが、これはティッシュペーパーとは似て非なるものです。
レンズクリーニングペーパーはレンズクリーナー液を浸して清掃する為のものですが、これでレンズのガラス面を清掃するのは大丈夫なのですが、ティッシュペーパーではダメなのです。
理由は繊維の長さ。
ティッシュペーパーの繊維は短く、その繊維の端がレンズを傷つけてしまう為です。
レンズクリーニングペーパーには長い繊維が使われており、繊維の端が剥き出しになり難い様に工夫されています。
それでも強く拭くと傷が付く可能性があるので、優しく、柔らかく拭き取る様に指示されています。

また、アルコールも燃料用、医療用など各種ある為、中にはレンズのコーティングを悪くするものがある可能性もあるので、必ずレンズクリーニング用のものを使用する様にしてください。

最近出ているスティックタイプのレンズクリーナーでも、レンズクリーニングペーパーを使う場合もレンズ面の清掃は優しく、円を描く様に清掃します。
絶対に力を込めて拭かない様に気をつけてください。

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レンズクリーニングキットの例

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先端のクリーニングパッドでレンズ、フィルターを清掃します。
左よりファインダー用、フィルター用、レンズ用

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先端の形が用途に合わせて違います。

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センサー、及びレンズ用のクリーニングリキッド


撮影には欠かせない大切なレンズです。
長く使える様に手入れはきちんとしておきましょう。

続く

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【2016/12/21 22:31】 | kumaのカメラ講座
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被写界深度

カメラを効果的に使う為に、幾つか知っておく方がよい事をピックアップして説明しましょう。

まずは被写界深度
聴き慣れない言葉でしょうが、内容を理解しておくと、より好い写真を撮るのに役立ちます。
被写界深度とは

写真を撮る為には、ピントを合わせる必要があります。
人の眼は自動的に見たい場所にピントを合わせてくれる訳ですが、機械であるカメラではそうは行きません。
昔でこそ、手でレンズのフォーカスリングを動かして、ピントを合わせたい場所に、ピントを合わせていた訳ですが、今はほとんどの場合でカメラがオートフォーカスしてくれます。

そして、ある一点にピントを合わせた際に、その前後もある程度ピントが合う範囲ができるものなのですが、被写界深度とはそのピントの合う前後の距離(深さ)を指します。

ZU.jpg
被写界深度(MINOLTA TRY USより転載)

この被写界深度は遠距離ほど広く、近距離ほど狭くなります。

また、ピントの合った位置よりも前側が狭く、後ろ側が広くなります。
ピントを外した際にピントが前に行った場合、意外と軽いボケで済んで、何とか助かる写真になるのに対して、ピントが後に行ってしまった場合、救いようがなくなるのはこのせいです。

また被写界深度はレンズによっても異なります。
焦点距離の短い(数値の小さい)レンズほど被写界深度は深く、焦点距離の長い(数値の大きい)レンズほど被写界深度は浅くなります。
つまり、広角レンズになればなるほど被写界深度は深く、望遠レンズになればなるほど被写界深度は浅くなります。

また、絞りの開閉によっても変わってきます。
この場合、絞りを開く(数値を小さくする)ほど被写界深度は浅くなり、絞りを絞る(数値を大きくする)ほど被写界深度は深くなります。

つまり、

被写界深度
深い> 浅い とすると

撮影距離(例:m)
遠距離(∞) > 中距離(3m) > 近距離(1m)

使用レンズ(例:焦点距離…35mm版フルサイズの場合 mm)
超広角レンズ(20mm) > 広角レンズ(28mm) > 標準レンズ(50mm) > 望遠レンズ(135mm) > 超望遠レンズ(300mm)

絞り値(F値)
F32 > F22 > F16 > F11 > F8 > F5.6 > F4 > F2.8 > F1.4

という関係になります。


古いレンズの例ですが…
レンズに各絞り値の被写界深度の指標が付いていました。
中央の太目のラインの上の黄色がft、白がmの距離表示
太いラインの両側の小さな数字が絞り値を指します。
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20mmレンズ

DSC03989.jpg
100mmマクロレンズ
20mmと比較すると、被写界深度が浅い事が判ります。

DSC03990.jpg
ズームレンズの場合、こうしたラインを引いて、指標にしてありました。



基本的に同じ焦点距離のレンズの場合、被写界深度の深さは変わりません。
ですから、標準レンズ(画角50°前後のレンズ)で比較した場合

スマホ > コンデジ > 4/3、μ4/3版 > APSC版 > 35mmフルサイズ版 > 645版
の順(センサーサイズが左ほど小さい)で、ボケ具合が異なってくる訳です。

つまり、同じ大きさの像を得た場合に、センサーサイズが小さいほど、焦点距離の短いレンズを使っている為に、被写界深度が深く画面全体がシャープになり、センサーサイズが大きいほど、焦点距離の長いレンズを使う事になる為に、被写界深度が浅くピントの合った場所以外がボケる為に主題が浮き立つ様になる訳です。

良く、大型のセンサーを使ったカメラを使う方が写真が綺麗だという人がいますが、これは主題を浮き出させるボケの効果を狙った場合に通じる事です。
でも画面全体をシャープに写したい場合には、決してこの限りではありません。
(大型センサーの方が有利な点は他にもありますが、この話からは外れるのでまた改めて説明します。)

言葉を変えると望遠レンズを使うと、ピントの合った箇所以外はぼやけて見える事になりますから、主題を浮き立たせる事ができます。
また、広角レンズを使うとピントの合った箇所以外もぼやける事が少なくなります。

ボケ味については焦点距離が長いほど効果が大きい訳ですから、センサーサイズが大きいほどその効果が大きくなるという訳です。

望遠レンズを使っても、被写界深度を深くしたければ、よりセンサーサイズの小さいカメラを選ぶべきですし、逆に主題を活かしたい、ボケ味を重視するならセンサーサイズの大きなカメラにするべきという事になります。

また、同じレンズであっても絞り値の設定で被写界深度は変わりますから、広角レンズであっても大きなセンサーサイズのカメラの場合、より美しいボケ味を楽しむ事ができるという事になります。

その昔、ピント合わせ不要のパンフォーカスカメラというカメラがありました(フィルムカメラ『写るんです』もこうしたカメラのひとつです。)が、こうしたカメラに取り付けられているレンズは広角レンズで、絞り値の小さいものでした。
そうする事で、深い被写界深度を得ることが出来、概ね1m以上の距離であれば、無理なくピントが合っている様になる為に充分実用的とされていました。
厳密にいうとボケが許容範囲内に納まっているので、問題なくシャープに見えるという事です。

DSC03993.jpg
写るんです(レンズつきフィルム)

DSC03994.jpg
フラッシュ無しの場合、1m~無限遠でピントが合うとなっていて、ピントの調整不要になっています。

結構、被写界深度の話は奥が深いのですが(深度だけに…!?)これを理解して極めれば、写真の絵作りが変わってきます。



比較テスト

各レンズと、絞りの値によって被写界深度の変化を見て下さい。
 ①カメラは35mmフルサイズ版です。
 ②ピントは3体目のフィギュアに合わせてあります。
 ③各フィギュアの最前列のものが概ね同じくらいの大きさになる様にしましたので撮影距離はレンズごとにそれぞれ異なります。
 ④フィギュアはこんな形に配置してあります。
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広角レンズ(24mm)
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F2.8

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F5.6

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F11

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F22



標準レンズ(50mm)
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F2.8

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F5.6

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F11

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F22



望遠レンズ(200mm)
20028.jpg
F2.8

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F5.6

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F11

20022.jpg
F22



比較その2
望遠レンズで各フィギュアの違う位置にピントを合わせた時の見え方の差
(35mm版、200mm F8で比較)
DSC05050.jpg
最も前のフィギュアにピントを合わせた場合

DSC05049.jpg
真ん中のフィギュアにピントを合わせた場合

DSC05051.jpg
最も後ろのフィギュアにピントを合わせた場合

被写界深度が、
広角レンズほど深く、望遠レンズほど浅い。
撮影距離が前ほど浅く、後ろに行くほど深くなる。
絞りを開くほど浅く、絞りを絞るほど深くなるのがお解り頂けたでしょうか?

続く

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【2016/12/09 16:32】 | kumaのカメラ講座
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ひさびさの更新。

レンズの事を質問されたものですから。

今回はカメラのレンズについて。

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35mm版フルサイズで全周180°の魚眼レンズで撮影した場合のそれぞれのレンズの焦点距離の画角のイメージ
(MINOLTA TRY USより転載)
レンズ交換式のカメラの場合、交換レンズこそがそのカメラの楽しみ方だと思います。
色々なレンズを交換する事で、表現方法は無限に広がっていく訳ですから。

その交換レンズにも色々あります。

広角レンズ、標準レンズ、望遠レンズ(屈折望遠レンズ、反射望遠レンズ)、魚眼レンズ、マクロレンズ、ズームレンズ、そしてこれらとは異なる特殊な描写をする為の特殊レンズ。これらも順を追って説明したいと思います。

さて、
現在、最初に手にするレンズ、多くの人は標準ズームレンズでしょう。
35mm版フルサイズならば、28~70mmクラス、APSC版なら、18~50mmクラス、4/3版ならば14~35mmクラスのものがついているものになるでしょう。
昔ならば単焦点レンズの50mmレンズが着いて来たものなのですが…(笑)

ズームレンズは、単焦点レンズ数本分の働きをしてくれますから、単焦点レンズを何本も持ち出すよりははるかに楽です。
初めてレンズとしては決して間違った選択肢ではないです。
旅行に、ちょっとしたお散歩カメラにするには最高のレンズといえます。

特に限られた場所での撮影では簡単に画角を変えられる事から、ある意味、万能レンズといえます。

ただ、ズームレンズは単焦点レンズに比べて、構造的にレンズの枚数が多くなる、レンズの口径が小さくなる、その分暗くなる、重量が重くなります。
相対的に、単焦点レンズは、口径を大きく出来る、レンズ枚数が減らせる、重量が軽く出来ます。

こうしたカメラ用のレンズの中には幾つものレンズが入っていますが、このレンズ枚数が多くなるとレンズ面での反射が発生するので、その分減光してしまうという問題があります。
またレンズ面の反射によるゴースト、フレアといった乱反射がレンズ内で起こる事もあります。
これを作品に活かす人もいる訳なんですけどね。

まあ、レンズの反射に関してはコーティング技術で最近のレンズでは、かなり改善されてきています。

カメラのレンズは数枚以上のレンズの組み合わせで作られていますが、これはレンズの収差の補正をする目的で幾つかのレンズを組み合わせています。

レンズの材料のガラスはその材質で屈折率や反射率が異なるので、その組み合わせを上手く工夫する事で、より綺麗な描写が出来る様にしています。

また、35mmフルサイズ(24×36mm)→APSCサイズ(15.7×23.7mm 35mm版比約1.5倍)→フォーサーズ(17.3mm×13mm 35mm版比約2倍)→コンデジ→スマホ/携帯とセンサーサイズが小さくなると同じ焦点距離のレンズでも、使う画角が違ってきますから、描写も異なってきます。

フルサイズだと50mmは標準レンズ(人の眼の画角に近く自然な描写をさせやすい)でも、フォーサーズだと望遠レンズの範疇に入ってしまいます。

35mm版フルサイズの場合、24mm以下(画角85°以下)を超広角レンズ、28mm~35mmクラス(画角75~60°あたり)を広角レンズ、50mm前後(画角40~55°あたり)を標準レンズ、85mm~200mmクラス(画角35~12°あたり)を望遠レンズ、250mm以上(画角10°以下)を超望遠レンズといっています。
焦点距離がひとつの目安なんですが、描写の具合は画角の方が参考になります。

15338699_715187751972488_2306642096101647202_n.jpg
35mmフルサイズ版の画角と焦点距離の関係

それと昔から35mm版が一番広く流通していた事もあって、レンズの性能は35mm版換算で語られる事が多いです。

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デジタルカメラのセンサーサイズとイメージサークルの関係

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50mmレンズを例に挙げると645版(中版)だと、広角レンズですが、35mm版だと標準レンズ、APSC→フォーサーズとセンサーサイズが小さくなればなるほど、望遠レンズになっていくのが判るでしょうか?



標準レンズ
各センサーサイズでの画角を揃えた場合の比較(例:標準レンズ)

各レンズ(広角レンズ~標準レンズ~望遠レンズ)での見え方の差
(フィギュアをそれぞれ同じ程度の大きさになる様に配置した場合の遠近感の差をご覧ください。いずれも35mm版)
24.jpg
広角レンズ(=24mm)
50.jpg
標準レンズ(=50mm)
200.jpg
望遠レンズ(=200mm)


24C.jpg
広角レンズ(=24mm)
50C.jpg
標準レンズ(=50mm)
200C.jpg
望遠レンズ(=200mm)
広角レンズの方が、主題が強調され、遠近感が大きく、歪みが大きくなるのに対して、望遠レンズの場合、遠近感はぎゅっと凝縮されて、圧迫感が強くなり、歪みが少なくなります。

広角レンズでは画面の端に行くほど歪みが大きくなりますから、広角レンズでの集合写真の場合、端に並ぶと変形して不細工に写る可能性が高くなります。
以下は同じ24mmの広角レンズですが、画面の振りかたで画面端と中央での歪みの差がどう変わってくるのか、ご覧ください。
DSC03980.jpg
俯瞰で画面中央に並んだ場合
DSC03981.jpg
俯瞰で画面下側に並んだ場合
DSC03982.jpg
ほぼ水平で画面中央に並んだ場合
DSC03983.jpg
ほぼ水平で画面下側に並んだ場合
DSC03984.jpg
片側から撮影した場合
中央に比べて端に行けば行くほど、歪みが大きくなるのが判るでしょうか?

続く

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【2016/12/05 22:36】 | kumaのカメラ講座
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ISO感度とシャッター速度と絞りと…

先にカメラの露出を決める要素として
①ISO(ASA)感度
②シャッター速度
③絞り
の3つがあると説明しました。
①ISO(ASA)感度 とは、12・25・50・100・200・400・800・1600・3200・6400・12800・25600…
②シャッター速度 とは、1S・1/2・1/4・1/8・1/15・1/30・1/60・1/125・1/250・1/500・1/1000・1/2000・1/4000・1/8000…
③絞り とは、F1・F1.4・F2・F2.8・F4・F5.6・F8・F11・F16・F22・F32…
といった数列です。

その詳細を順に説明します。

①ISO(ASA)感度

もともとはフィルムの感光し易さを示したものでした。
この規格には、ドイツの規格(DIN規格)とアメリカの規格(ASA規格)の2種類があり、それぞれ一長一短あり、後に国際工業規格(ISO規格)の制定に当たっては、その両方が取り入れられました。
しかし、シャッター速度、絞りとの計算上からはASA規格の方が理解し易い為、いま多くカメラのISO感度の表示はほぼASA規格の感度に統一されています。

DSC01023.jpg
フィルムの感度 右がISO100、左がISO400のフィルム

さて、そのISO感度ですが、

12・25・50・100・200・400・800・1600・3200・6400・12800・25600…
という数列です。
現在のデジカメではこれらの中間値での使用も可能ですが、基本はこの倍数列と記憶しておいてください。

常用感度としては100・200・400あたりで、フィルムの多くはこの感度でした。
フィルムの場合、感光剤をフィルムに塗布しているのですが、低感度のフィルムの場合、この感光剤の粒子をきめ細やかなものに出来ます。
したがって、低感度のフィルムの方がより解像度の高い写真を撮影できた訳です。

さて、この感度数値が大きくなればなるほど、暗い場所での撮影が可能になります。
暗い場所でもフラッシュをたかずに撮影が出来ますと、感度1600などのフィルムも発売されていました。
こうしたフィルムは感光剤の粒子が粗くなる為、撮影した場合、どうしても粒子の荒れた写真になります。
しかし、これはこれで味があるので、わざとそうした使い方をする場合もありました。

デジカメになって、暗い場所での撮影において、感度1600とか感度3200といった数値で設定した場合、やはりノイズが発生しやすくなります。
このあたりはカメラメーカーの腕の見せ所なのですが、高感度でも破綻の無い絵作りの出来る撮像センサーが開発されてきていて、より後発のものの方がその性能は良くなってます。
数年前のカメラでは感度1600あたりでノイズが出ていたものが、今は感度3200でも大丈夫といった撮像センサーが出てきています。

先にも書きましたが、昔はある感度のフィルムをカメラに入れると、そのフィルムの撮影し終えるまで、そのフィルム感度で撮影しなければならなかったのですが、現在のデジカメでは一枚ごとに設定の変更が可能になっています。

②シャッター速度

カメラの撮像センサー(フィルム)へ与える光の量を時間的に制御するのがシャッターです。
カメラのシャッターには大きく2種類あって、レンズの中に組み込まれたレンズシャッターと撮像センサー(フィルム)の直前に取り付けられたフォーカルプレーンシャッターの2種類があります。
いずれにしても、設定した時間だけ撮像センサー(フィルム)に光を通す仕組みです。

シャッター速度の数値は秒表示で 1S(1秒)・1/2(1/2秒)・1/4(1/4秒)・1/8(1/8秒)・1/15(1/15秒)・1/30(1/30秒)・1/60(1/60秒)・1/125(1/125秒)・1/250(1/250秒)・1/500(1/500秒)・1/1000(1/1000秒)・1/2000(1/2000秒)・1/4000(1/4000秒)・1/8000…
といった倍数列になっています。
これは実際には近似値で表示されていて
1S(1秒)・1/2・1/4・1/8・1/15(実際は1/16秒)・1/30(同1/32秒)・1/60(同1/64秒)・1/125(同1/128秒)・1/250(同1/256秒)・1/500(1/512秒)・1/1000(1/1024秒)となります。

レンズシャッターの場合、あまり問題にはなりませんが、フォーカルプレーンシャッターでは、高速シャッターの場合、シャッターが撮像センサー(フィルム)の一部を覆ってしまう為、シャッターが全開になる速度に設定する必要があるので、ストロボ同調シャッター速度が設定されます。

③絞り

カメラレンズの口径を示す数値です。
一般にF値って呼ばれます。

F1・F1.4・F2・F2.8・F4・F5.6・F8・F11・F16・F22・F32…

といった数値なのですが… よく解らないですね。
ただし、この数値をこう置き換えると解りやすくなります。

1=1
2=2
2の2乗=4
2の3乗=8
2の4乗=16
2の5乗=32
2の6乗=64
2の7乗=128
2の8乗=256…

それぞれの累乗根(√)を算出すると…
√1=1
√2=1.41…
√4=2
√8=2.8…
√16=4
√32=5.6…
√64=8
√128=11…
√256=16…

絞り値になったでしょ。

つまり、絞り値も倍数列なのです。
この絞り値は数値が大きくなるほど口径が小さくなります。

(これが理解できた時に、数学ってこう言う事の為に使うんだと感動した覚えがあります。)

DSC01019.jpg
絞りの一例(F2.8開放絞り)

DSC01020.jpg
絞り値F8

DSC01021.jpg
絞り値F16(最小絞り)


こうしてみるとISO感度も、シャッター速度も、絞り値もいずれも倍数列になっている事がわかります。

「シャッター速度を1段上げて…」
とか、
「(絞りが)1段明るいレンズ…」
なんて言い方をする場合がありますが、これは前者が

(例えば)1/500のシャッター速度を1/1000にする。
(つまりシャッター速度を1/2の速度にする。)

後者が
開放F値がF4のレンズをF2.8のレンズにする。
(F値が2倍になる。)
といった具合に2の倍数で変更をする訳です。

先にも書きましたが、現在のデジタルカメラの場合、より細やかな設定が可能で1/2段とか1/3段での設定も出来ますが、説明しやすいのでこのまま続けます。

一例ですが
ISO感度100で、シャッター速度1/30、絞り値F8という測光結果が出たとして、
シャッター速度が低いから手ブレしそうだなという場合には、
例えば絞り値はそのままにISO感度を400に変更すればシャッター速度は1/125になりますし、
ISO感度はそのままに絞り値をF4にすれば、同じくシャッター速度1/125が得られると言う訳です。


この3つの要素を自在に組み合わせる事でいろいろな効果を生み出す事ができる様になります。

例えば、シャッター速度を上げて撮影すると手ブレを防ぐ効果だけではなく、動いているものをストップした様な写真(ストップモーションと言います)が撮れます。
逆に遅いシャッター速度を選ぶと、シャッター速度にもよりますが、動いているものが激しくぶれて動感あふれる写真になったりします。

また、絞り値については回を改めてレンズの項で詳細を説明しますが、開放F値にして明るくするとピントがあう範囲が狭くなり、被写体を強調できますし、絞り込むとピントを気にせず撮影できたりします。

ISO感度を上げると暗い場所での撮影が楽になります。
しかし、これらはいずれもトレードオフの関係になるので、用意できる機材との相談になる訳です。

つまり、露出の決定とは光の強さをISO感度とシャッター速度と絞りという3つの条件を当てはめて必要とする表現に合わせてコントロールするという事なのです。

3要素の関係A
ISO感度とシャッター速度と絞りの関係


続く

最初から読む。


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【2014/01/12 01:18】 | kumaのカメラ講座
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