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minolta Hi-matic



米ソの宇宙開発競争が盛んだった頃…

最初の人工衛星、最初の有人宇宙飛行と続け様にソ連に出し抜かれたアメリカは国の威信をかけ、その遅れを取り戻すべく宇宙開発に邁進していきました。

「10年後には人類を月に送り込む。」

ケネディ大統領の宣言と共にアメリカは宇宙開発に注力します。

西側世界、最初の有人宇宙船はジェミニロケットによるもので、マーキュリー計画と呼ばれ、7人の宇宙飛行士たちが選抜され次々に宇宙へ飛び立ちます。

そのマーキュリー計画で宇宙での写真撮影に使われたのがAnsco Autoset(アンスコ オートセット)というカメラの改良型でした。
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Ansco Autoset
Historic Camera History Librarium より写真拝借



実はこのカメラ、日本のミノルタカメラ(minolta)製のハイマチック(Hi-matic)のOEMバージョンだったのです。

アメリカの始めた宇宙開発において最初に宇宙船内から地球を写したのはこのカメラなのです。

ミノルタカメラの技術者であった小倉 敏布氏著 現代カメラ新書シリーズの一巻である『レンズの科学入門』にもミノルタ製のレンズが最初の宇宙撮影の栄誉を得たと誇らしげに解説されています。
そこに紹介されているのはminolta ROKKORのテッサータイプ、3群4枚の45mmレンズです。


いつかはスペースカメラ(と同じタイプ)をコレクションしたいなぁ

と以前から思っていたのですが、そのカメラminolta Hi-maticがジャンク品ながら、ハードオフで比較的状態の良いものが捨て値同然の550円なんて値札が付いていたら…

やっぱり買ってしまいますよね。(笑)


手に入れて、嬉しくなって…

しかし良く良く見たら、レンズはROKKORの45mmなんだけど、ROKKOR-PF?

あれ?!
テッサー型じゃない??

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minolta Hi-matic のレンズ ROKKOR-PF 45mm F2


古いミノルタ(minolta)製のレンズ ロッコールレンズ(ROKKOR)はその後にレンズの構成を示す記号が与えられていて、それを見るとそのレンズのレンズ構成が判るのです。

カメラ用のレンズは幾つかのレンズの組み合わせなのですが、貼り合わせレンズ等もあり、その構成は何群何枚と表示します。

ミノルタの表記の場合、
レンズの群数は、3群=T、4群=Q、5群=P、6群=H… (三角形、四角形、五角形、六角形…の英語表記の頭文字と同じ…)
またレンズの枚数は、3枚=C、4枚=D、5枚=E、6枚=F、7枚=G、8枚=H… (こちらは単純にアルファベット順)
としており、3群4枚ならTD、5群6枚ならPFと表示します。

つまり、本に解説のあったテッサー型なら3群4枚ですからTDでないとおかしい訳です。

僕の読み間違い?

それとも著者の小倉氏の記憶間違い??


どうにも判らず、当時のミノルタ製品でハイマチックに近い幾つかのカメラを探していると…

見つけましたミノルタ ユニオマット(minolta uniomat)。

このカメラにはROKKOR-TD 45mm F2.8というレンズが付いていました。
つまりminolta ROKKORのテッサータイプに間違いありません。

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minolta uniomat

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minolta uniomat のレンズ ROKKOR-TD 45mm F2.8





しかしながら、スミソニアン博物館に保管されているというAnsco Autosetは明らかにminolta Hi-maticそのものです。

そこで、もしかしたらとAnsco Autosetについて調べてみたら…

カメラのマニュアルのPDFにヒットしました。

そのカメラの写真を拡大してみたら…

このカメラに付いているレンズ

ANSCO ROKKOR 45mm F2.8??

何とベースは同じカメラながらアメリカ輸出用は違うレンズが付いていたのです。

日本では比較的高級路線のレンズ固定式カメラであったハイマチックシリーズなのですが、アメリカでは販売戦略から違っていたのかも知れません。

ハイマチックの発売された1961年の初めCanonがCanonetを発売し、45mmF1.9という大口径レンズを搭載し、18,800円という大衆機として購入し易い価格で登場していました。
日本では競合他社との競争に勝つ為に、少しでも大口径のレンズを採用する必要があった可能性があります。
その為、日本で発売されたものでは、より大口径のROKKOR-RF 45mm F2を採用したのかも??


『レンズの科学入門』の説明は正かった訳で、ジェミニ宇宙船からジョン・グレン宇宙飛行士が写真を撮影したのはまさしくminolta製のテッサー型レンズだったのです。

更に調べると、Ansco へのOEM品としてはAutoset以外にもあった様で、Anscosetなるカメラもありました。
その写真を見てみたら…

これ、ユニオマットじゃん!!

当時、minoltaは海外輸出をこんな形で行っていたんですね。

謎は氷解。
少なくともユニオマットに搭載されているROKKOR-TD 45mm F2.8はスペースカメラAnsco Autosetのレンズと同等品の様です。


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Ansco Anscoset
Historic Camera History Librarium より写真拝借


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【2017/10/31 23:30】 | オールドレンズ
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